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カテゴリー: くらしの手帖

鳩よ

春さんの個展に行く前に、京都に一泊しました。四条大宮のホテル東横Inに着き、車をすぐそばの壬生川通りの立体駐車場に回し入れ、駐車場を出て、角のコンビニで携帯の電池を買わなくっちゃと急ぎ足で歩き出すと、ふと、四条通と交差する信号の横断歩道のすぐそばの道路の真ん中に、グレーのきれいな鳩が1羽横たわっていました。

もう息は無いようだったけど、このままでは無惨に車の下敷きになってしまう、救ってあげなくてはと周りを見回すも、ちらちらと、私と鳩とを交互に見てはいましたが、足を止める人は一人もいないようすで。私も迷いながら歩き出しました。コンビニの人に頼めば何とかなるかも、、でも、夕方のの慌ただしい時間で、しかも若い人ばかり。それに、迷惑がられるかもしれないと思うとそれも出来ず。。等と考えながら充電電池をかった袋の中身を取り出し、歩きながらこれに入れて道ばたの植え込みに。。。。あ、植え込みが無い。弱った。。と引き返し。でもほっとけない。。。と、5歩行っては戻り、行っては戻りと、コンビニの前で奇妙な動きをしておりました。

3回行って戻ったときこんな事を思ったんです。
「私は旅の者、たとえ車の下敷きになる事から救ってあげられてもこの道ばたにおいて有る生ゴミと同じ場所にしかおいてあげられない。ゴミのように扱われ忌み嫌われるのも忍びない。救ってあげるのが良いのかどうか解らない。都会で暮らす生き物は都会の雑踏の中で息絶えて、たとえ車の下敷きになっても、それがそのものの運命なのかもしれない。」
一瞬、そんな事が頭をよぎり、私はホテルに向かって歩き出しました。

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