熊の事など

 お寺にもとうとう熊が現れたようで、畑の中の柿の木に爪痕が有ったそうだ。熊は柿の実が大好物らしい。山中にもまだたくさん有るのにと思っていたら、山中の渋い柿には目もくれず、里に有る甘い柿を狙って来るらしい。町の対策として「村中の柿は切りましょう。」まあ、昨今は柿がなっても邪魔なだけと思う人も多いようで、何の問題もないようだけど。短絡的な発想、情緒のない対策。日本の田舎がどんどん風情をなくすのね。これを機に長期的な里山作りを呼びかける動きなどちっとも聞こえて来ない。すぐ裏の畑に行くのにもきょろきょろしながら、山に呼びかけながら行く。数年前に切り開いてきれいに植林された山が背後に迫る。そんなに深い山じゃないから。食べる物はその頃から既に減っていただろうし、今年は特にね。最近、鹿の鳴き声を良く聞く。悲しい叫び声に聞こえる。

柿の木、切らなくても助け合って柿の実を取れば良いのじゃないのか?取った柿の実をヘリで山中に落とすんだわ。そう、災害時の食料支援みたいに。なんなら、その辺のドングリも栗も集めて山中に蒔けばどう?将来、柿の木も芽を出して、ドングリも栗の木も育って、山の食べ物が元通りになったら、熊も里に降りずに暮らせるようになるんじゃないか?人間が奪いっぱなしだから、奪いに来るんです。奪ってしまったら何か代わりの物を返さなきゃ。

この辺は最近ジオパーク認定に沸いていて、時折騒がしくヘリが頭上を飛ぶけれど、動植物の有るべき営みを守る事も忘れてはいけない。ジオパークジオツーリズムと聞く度、地質遺産=観光=地域経済活性化の構図ばかりが目についてしまう。あらゆる生物の静かな暮らしも壊れてしまうんじゃないかと心配している。

ジオパークとは
 
 ジオパークは地球活動の遺産を主な見所とする自然の中の公園です。ジオパークは、ユネスコの支援により2004年に設立された世界ジオパークネットワークにより、世界各国で推進されています。ジオパークは、以下のように定められています。
  • 地域の地史や地質現象がよくわかる地質遺産を多数含むだけでなく、考古学的・生態学的もしくは文化的な価値のあるサイトも含む、明瞭に境界を定められた地域である。
  • 公的機関・地域社会ならびに民間団体によるしっかりした運営組織と運営・財政計画を持つ。
  • ジオツーリズムなどを通じて、地域の持続可能な社会・経済発展を育成する。
  • 博物館、自然観察路、ガイド付きツアーなどにより、地球科学や環境問題に関する教育・普及活動を行う。
  • それぞれの地域の伝統と法に基づき地質遺産を確実に保護する。
  • 世界的ネットワークの一員として、相互に情報交換を行い、会議に参加し、ネットワークを積極的に活性化させる。