火をおこすのはとても下手。今日こそはと思っても、また今度ねとのばしのばしにしてきたけれど今日からちゃんと練習しよう。と、、約30分後にようやく燃え始める。いやはや、ちっとも上達していない。10年前と一緒だ。疲れる。。ともあれ、少しこつは飲み込めた。
裏の畑のとなりには立派な里芋がたくさん植わっていて、赤いのや青いのや芋茎がおおきな葉を広げていた。2日ほど前に全部収穫したようで、親芋の付いた芋茎が畑のあちこちに転がっていた。おばさんが濃い赤紫の千本芋茎を一束持ってきてくれた時、おおきな芋茎の干し方を教えてくれた。
おばさんは青芋茎の事を「酢芋茎」と言った。酢芋茎に使う太い芋茎は必ず青芋茎だったのか?里芋の種類にもいろいろ有ってよく解らない。おばさんの実家は湯村温泉の近くで、里芋を収穫すると青芋茎を集めて長さを揃え荒湯に行き、さっと湯がいて持ち帰り皮を剥いて干したそうだ。荒湯から遠い今の場所にお嫁に来る時、芋茎を湯がくのをどうするか心配だったらしい。荒湯は、山菜の灰汁抜きに、木の皮の皮むきに、日常の料理の下ごしらえにと、おばさんに取っては無くてはならない場所だったのだ。
「嫁に来る前はなぁ、酢芋茎を荒湯で湯がいて皮ぁ剥いて、軒にいっぱい干したもんだ。荒湯でにゃぁといけんみたいに思っとって、ここのもんらはどうやって干しとるだらぁって思っとった」
「芋茎って体にえぇらしいですねぇ?」
「さぁ、そうらしいけどなぁ、今のもんは干しといたって食べんけぇなぁ。奥さん、干しなるだったら畑に転がっとるけえ、持って帰ってしてみたらええわぁ」
「荒湯でどうやってしとったですか?」
「青い芋茎の長さを揃えて上の方を握って、さぁ~っと、さぁ~っとだで、湯に浸して引き上げたら、家にもって帰って下の方から皮ぁはいだら、握っとったあたりまで剥けるけぇ、上の方はちょっと皮が残っとるけどそれでえぇ。」
「なんで上の方の皮を残すの?」
「藁を通してなぁ、干すけえ、暖簾みたいにずらっと。皮が残っとると重みで落ちんけぇだが」
「暖簾みたい?」
「全部剥いたら太い下の方を二つか三つに割っとくだが。上の方に箸で穴を開けて、2~3本一緒に藁を一本通して輪っかにして物干竿に干すだが。青い芋茎がずらーっと並んで、そしたらなぁ、そりゃぁ、きれぇ~な青い暖簾みたいにみえるだでぇ。赤いのはいけんで、えぐいけぇ。青いのをなぁ。」
ということで、おばさんの畑に行き、青い親芋付きの芋茎を抱えていっぱい持ち帰った。親芋を切り離して長さを揃えておく。大鍋のお湯が沸いたら、言われた通り一握りして大鍋に入れてみるが、、しんなりともしなくて中に入らない。無理に入れると折れてしまい、暖簾みたいに干せなくなる。そこで、柄杓を持って、握っている手にかからないように気をつけながら掛け湯をするように熱湯を掛ける。茹で加減はよくわからないけれど、きっと、皮を剥きやすくするだけで良いのだと思う。最初のは茹ですぎてぽてぽてになってしまったが、焼き茄子のようで、このまま煮付けにしたら美味しそうだった。
さて、なんとか皮を剥いたので穴を開け、藁の代わりにビニールのひもで2~3本束にした。廊下を修理中なので干場が無く、本堂の格子に竿をぶら下げて干してみた。