綿の手紡ぎ糸が間に合わないので、先に麻で織ろうと思ったら撚りかけに結構手間取ってしまっている。可愛いひょうたん型にまとめられた麻の生平を織るための糸は、中国の主に四川省の奥地で作られているそうだ。そこは地震の被害には遭わなかったらしい。思わず胸を撫で下ろす。こんな手間のかかる仕事が今も続けられている事、日本に居る私も、手にする事が出来ることに感謝します。
四川省の奥地では、この糸よりさらに細く美しい糸を作る技術が今も生きている。まさに「神の手技」。しかし、昔の日本がそうだったように、経済成長のもと奥地にも工場が進出してきて、こういう手間のかかる仕事が消えてしまうのも、時間の問題かもしれないと聞く。昔の暮らしが生きているからこそ、このような仕事が生き続けるのだと思う。今回の地震でそういう暮らしも大きく変わるのではないだろうか。心配、、と、そんな言葉を何不自由無く暮らしている私が言うのも少し気が引ける。
さて、Z撚りとS撚りをより合わせた糸に撚りをかけて糊付して縦糸に使えるようにするのだけど、撚りかけの途中でつないだ糸端がぴろぴろとほどけようとするのを止められない。糸紡ぎも大半は自己流で、今回も自分でなんとか工夫してより良い方法を見つけなくてはいけない。試行錯誤を繰り返してなんとか上手く撚りかける方法を見つけた。丁寧に撚り合わされた糸をつまんだ指先でなぞりながら、手績みの糸の感触を刻み付けている。
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