公民館だよりにも載せたのですが、ここにも書いておこう。
立脇泰山(1886~1970)新温泉町細田出身。
町内の住民のから約一〇〇点の寄贈を受けたうちの二七点を展示している。
入り口でまず目を引く「踊り鯛(たい)図」はシャレですか?と言いそうになる。鯛の大胆な構図が目を引くのだが、私としてはやはり自然の風景を静かに描いた作品に惹かれる。生き生きとした鮎、炭焼きの素朴な風景、ハッとする青い富嶽などなど。ぜひ以命亭ホールに足を運んで、それぞれの『私の好きな泰山』を見つけてください
町のホームページにも紹介されている『渓間昇鮎』の鮎がみずみずしくて思わず覗き込む。
エラの後ろにほんの少しさした淡黄色、ヒレはほんのり赤みを帯びて、胡粉で描かれた腹の白がみずみずしい鮎。水面にさした紺青とエラの淡黄色が相まって、鮎独特の「緑色の香り」のようなものを感じさせる。(鮎はキュウリウオ科の魚)
日本画は多くは表装されて軸に収まっているのだけれど、時々その表装を外してしまいたい衝動にかられる。描く画家の生の気持ちに近づきたいとの気持ちがそう思わせる。逆に考えれば、表装された絵は画家と持ち主との合作だとも言えるのかも。そんなことを考えながら軸の景色を眺めるのもいいかな。